歯医者のつぶやき
2016/09/11
あと先短いから...
先日、うちで飼っているある一匹のグッピーが白く硬くなって水槽の底に横たわっているのを発見しました。2、3日前から泳ぎがおかしいなとは思っていました。いつもの優雅な舞うような泳ぎではなく、溺れまいと必死な感じ。それから次第に生気がなくなり、あっという間に永眠についたのでした。

ところで、日本人の平均寿命(2013年)は男性は80.21歳、女性は86.61歳で、日本は世界有数の長寿国です。でもこれをそのまま受け取り人生設計をするのは早計です。平均寿命には内訳があります。平均寿命=健康期間(健康寿命)+介護や入院などが必要な「不健康な期間」というわけです。
この「不健康な期間」は健康寿命(男性71.19歳、女性74.21歳)から計算すると男性は9.02年、女性は12.40年となります。
これから想定されるのは、「体が弱って、ぽっくり死んで終わり」というのはあまりなさそうだと言うことです。しかし上記のグッピーのようにあっさりと人生を終えるイメージを持っている方は案外多いのではないでしょうか?実際は、体が弱った先には、介護や入院、寝たきりなどといった、少しやっかいな10年もの期間があるのです。

患者さんと治療方針を話し合う場で「あと先短いから...」と言って突然治療に消極的になられる方が少なくありません。この発言を聞くといつも返事に窮します。「いやいや、そんなことは...」と話を繋いでも建設的な話はできません。「じゃあ適当にやりましょうか...」というのも違いますよね。
この高齢化社会に生きるみなさんには是非「不健康な期間」に備える、という考え方も身につけておいて欲しいと思っています。
もしこの期間に歯の問題が生じたらどうなるでしょう?通院にしろ治療にしろ、通常より困難な状況になることは想像に難くありません。そして大変なのは自分だけではありません。自分を支えてくれる方々にも余分な負荷や心労をかけることでしょう。
目先のことだけで判断すると後々の後悔が待っているかもしれませんよ。
歯を大切にする意義は他にもあります。歯が多く残っており、お口が健康に保たれている状態の方はそうでない方に比べ(全身の)健康状況がよいということも統計的にはわかっています。すなわち、お口を健康に保つことで「不健康な期間」を短くすることも可能かもしれないのです。
お口の中は年齢とともに崩壊させていくイメージではなく、死ぬまでずっときれいなままでいたいものです。























